千葉大学医学部 小児病態学免疫アレルギーグループからのお知らせ

【お知らせ(2015年12月20日)】

本研究も、おかげさまで450組を超えるお母さん・お子さんの参加をいただいて進んでおります。

9か月での検査は2015年10月に修了し、参加者の様々なご協力に深く御礼申し上げます。

この調査では非常に多岐にわたる解析を行っており、現在解析中のものもありますが、基本的なデータが出てきました。研究結果は第3者による評価を受けて最終的に論文として世の中にでるものですが、参加者の方の情報提供は可能な範囲で行いたく、ここでは現在得られている結果を簡単にお知らせ致します。

シンバイオティクス(ビフィズス菌+オリゴ糖)、保湿薬のアレルギー予防効果については、どのくらい服薬や塗布ができていたかを確認してからの解析になりますので、まだ解析に少し時間がかかりますことをご了承ください。

 
9か月でのアレルギー有病率
9ヵ月でのアレルギー有病率 あり 疑い含む
アトピー性皮膚炎 12.6% 24.9%
食物アレルギー 1.8% 6.2%

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの頻度は日本の今までのいくつかの調査と大きく変わらない数字でした。葛飾赤十字産院で産まれたお子さんたちが特別にアレルギー体質が強いというわけではないようです。

 
9か月での感作
※感作:アレルギーを引き起こす1つ前の準備の段階の状態
卵 白 オボムコイド 牛 乳 ネ コ ダ ニ
42.0% 13% 8% 3% 4%

「感作」の有無はすでに個別にお送りしてある結果にも書きましたが、採血検査でアレルゲンタンパクに対して反応があるかどうかの指標になるものです。感作はアレルギーの準備状態と考えてください。

以前から報告されているように、卵白(鶏卵の白身)に対するIgE抗体が高頻度で陽性でした。以前行った千葉市での調査では1歳での卵白陽性率は33%でしたので東京の方がより感作率が高いかもしれません。ただ、卵白に対するIgE抗体があるからといって卵アレルギーというわけではなく、実際にはIgE抗体が陽性だったお子さんのごく一部だけが食物(鶏卵)アレルギーと診断されています。

感作があっても、症状がない場合には食べ続けてもらう方がいいということは検査結果通知でお知らせしてある通りです。

オボムコイドは卵白に含まれるタンパクの一つで、これに反応がなければ加熱すればほとんど問題なく卵が食べられることがわかっています。オボムコイドに対するIgE抗体は、卵白特異的IgE抗体陽性者の1/3しかいないことも多くのお子さんたちが加熱卵を摂取しても症状はないことを反映しています。

ダニ感作は9か月では少ないのですが、アレルギー性鼻炎、気管支喘息の原因になりますので、陽性になったお子さんでは今後の注意が必要と思います。

 
黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌という細菌は、私たちの皮膚には普通でも見られる菌ですが、アトピー性皮膚炎と関連があるとする調査があり、今回はお子さん、お母さんの両方で調べています。下の表でのパーセントはお子さん全員の中で黄色ブドウ球菌が皮膚に見つかったお子さんの割合です。お子さんでは生後1か月で半分のお子さんのほっぺたの皮膚に黄色ブドウ球菌が検出され、成長につれてゆるやかに減少してゆくようです。

お子さんの頬部が接触するお母さんの乳首近くの皮膚の検査では、出産後間もなくは少ないのですが、1か月の時点ではだいぶ増えていました。

今後、アトピー性皮膚炎との関連、お子さん、お母さんに検出された黄色ブドウ球菌が同じ菌なのかなどを解析する予定です。

  退院前 1か月 6か月 9か月
お子さん(頬部) 未検査 50% 43% 40%
お母さん(乳頭付近) 10% 38% 未検査 未検査
 
今後の解析

●腸内細菌叢とアレルギーの関連が注目されており、理化学研究所との共同研究で便を用いての腸内細菌叢の解析を予定しています。2歳と4歳での便の調査のご協力をお願いしていますが、ぜひお願いします。

●母乳中の免疫活性物質がアトピー性皮膚炎の発症に関連していることは、この研究の前の研究で解明されましたが、本研究でも調査する予定です。この解析には時間がかかりますが、分かり次第メールや千葉大学小児科のホームページでお知らせします。

イラスト
お問い合わせ
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このように参加者の方からご提供いただいたアンケートや検体で、アトピー性皮膚炎、卵白感作、ダニ感作に関連する因子の研究が進みました。ご協力いただいた参加者の方に、深く感謝申し上げます。アレルギー性鼻炎や喘息の多くは2歳過ぎから小学校に入るくらいまでに起こってきます。したがって、アレルギー性鼻炎、スギ花粉症、喘息などに関連する因子を解析するために、この調査に参加いただいた全ての方にアレルギー疾患の追跡調査が必要です。

今後も皆様へは研究結果をこのHPで随時お知らせいたしますが、アレルギー追跡調査について是非ともご協力いただけますようにお願い申し上げます。

ご不明の点あれば遠慮なく下記に問い合わせください。

 

【お問い合わせ】

下条直樹 千葉大学大学院医学研究院小児病態学

〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1

e-mail: katsushikakids@chiba-u.jp

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