千葉大学大学院医学研究院小児病態学(研究部門)と千葉大学医学部附属病院小児科(臨床部門)が一体となり医師の原点を忘れない診療・診察を心がけております

千葉大学医学部 小児病態学 Department of Pediatrics, Graduate School of Medicine, Chiba University

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教授挨拶

千葉大学小児病態学教授 下条 直樹

千葉大学小児病態学教授
下条 直樹

千葉大学大学院医学研究院小児病態学(旧医学部小児科学)教室は、1917年に涌嶋雅蔵先生を初代教授として開講され、100年近くの歴史と現在まで11名の教授が在籍した伝統のある教室です。私は、千葉大学医学部を卒業後、小児内分泌学を専門とする中島博徳教授(8代目)が主宰されていました小児科学教室に入局しました。中島教授は、トータルに患者さんを診療するcomprehensive pediatricsを基礎に置きながら高い専門性も有する医師の育成を行う教室を目指されていました。私は、生体の恒常性維持に興味がありアレルギー免疫学を専門領域に選びましたが、「病気のみではなく、患者さん全体を診る」という当教室の基本的な姿勢は、中島教授の後任の新美仁男教授(内分泌学)、河野陽一教授(免疫アレルギー学)も大切にされてこられました。私もこの良き伝統を守って行きたいと考えています。

最近の疾病構造は以前と大きく変化し、アレルギー疾患、炎症性腸疾患、癌、糖尿病、高血圧症、動脈硬化、脳卒中などの非感染性疾患(noncommunicable diseases; NCDs)の治療や予防が現代医学の大きな課題となっています。NCDsの本体は慢性炎症であり、その形成に神経・免疫・内分泌代謝という生体恒常性機構の制御異常が深く関与すると考えられます。最近の研究から成人も含めたNCDsの発症に関与する制御機構の不具合が胎児期〜新生児期、幼児期に始まる可能性が明らかになりつつあります。妊娠中の因子(母の腸内細菌叢、食事、化学物質、母体のアレルギー、ストレスなど)、新生児〜乳幼児期の因子(早産・低出生体重、腸内・皮膚細菌叢、栄養、感染症、化学物質・アレルゲン曝露など)により児の生体恒常性機構は大きな影響を受けます。一方で、小児は免疫系をはじめ多くの生体システムにおいて可塑性が大きいことから、胎児期〜乳幼児期はNCDsに対する予防的介入の良いタイミングともなります。当教室には複数の臨床・研究班があり相互に協力しあうことにより、それぞれの専門性・特徴を生かしながら、この課題に挑んで行きたいと思います。さらに、大学内外の複数の臨床科や基礎研究室との連携を進め、こどもだけでなく成人までを見据えた疾患の治療・予防そしてwellnessを目指します。

このような目標に向かうには何と言っても若い力が必要です。当教室では、基礎研究、臨床研究を行える環境にある総合大学の特徴を生かして、学部学生、初期研修医、後期研修医教育を通じてリサーチマインドを有する医師を養成して行きます。これは県内外の基幹病院において様々な患者さんに対応できる医師の養成にも繋がります。より開かれた小児科として、大学病院以外の病院で研修を行っている小児科医師にも研究を経験する機会を提供したいと思います。「明るく楽しく」をモットーとする千葉大学大学院医学研究院小児病態学教室で一緒に明日の小児医療を拓いて行きましょう。

最後に私が考える当科の目指すところを示したいと思います。

  • 明るく楽しく、教室員の能力・長所が伸びる環境を皆で作る
  • 国際的に通用する臨床・基礎研究を行い、発信する
  • 時間を有効に使い、ワークライフバランスを大切にする

2014年7月